こんばんは!
今日はワケあって、サンフランシスコからお送りしています!
・・・うそです。すいません。
先日の宅建試験、記事にも書きましたが、友人が数人受験したようで、結果などは気になってました。(友人の結果は思わしくなかったようですが・・・)
そんな友人から試験問題を入手しましたので、遅ればせながら 解説 的なものを書いてみます。ぼく自身もアウトプットすることで覚えられるといいますし、宅建の結果が気になってこの記事を読んでくださっているあなたには、世に出回っている解説と合わせて「ああ、そういうことなのか」と理解してもらえると幸いです。
問1
代理人に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。(太字は蒼い猫)
1 売買契約を締結する権限を与えられた代理人は、特段の事情がない限り、相手方からその売買契約を取り消す旨の意思表示を受領する権限を有する。
2 委任による代理人は、本人の許諾を得たときのほか、やむを得ない事由があるときにも、復代理人を選任することができる。
3 復代理人が委任事務を処理するに当たり金銭を受領し、これを代理人に引き渡したときは、特段の事情がない限り、代理人に対する受領物引渡義務は消滅するが、本人に対する受領物引渡義務は消滅しない。
4 夫婦の一方は、個別に代理権の授権がなくとも、日常家事に関する事項について、他の一方を代理して法律行為をすることができる。
第1問は、例年だと民法に規定のあるものはどれか」でしたけど、今年は少し形式を変えてきましたね。正解は肢3。
まずは肢2。代理人には法定代理人と任意代理人がありますが、①法定代理人は復代理人を選任することが全面的に認められています。自分でやりたくてやってるわけではないからです。
これに対して、②任意代理人は原則として復代理人を選任することができません。彼らはやりたくてやってるので。とは言え、まるっきり選任できないのはさすがに都合が悪いですから、①本人の許諾があるときか、②やむを得ない事由があるときは選任が認められています。ここが法定代理人の場合と違うところですね。
というわけで、肢2は内容あってます。大丈夫ですね。
続いて肢4。夫婦間の代理権について書かれてます。
知ってる人は知ってると思いますが、夫婦ってのは特別な関係でありまして、個別の代理権の授与がなくても当然に代理権が認められることがあります。これを日常家事債務(民法761条)といいますね。というわけで、肢4も合ってます。
残るは肢1と肢3。肢1はは一見すると「ん・・・?そんな規定あったっけ?」ってなりますけど、なんとなく合ってそうな感じがしますよね。
とりあえず保留にして肢3をみてみましょう。すると、
“代理人に対する受領物引渡義務は消滅するが、本人に対する受領物引渡債務は消滅しない。”
とあります。これって、よく考えるとおかしいことに気づくはずです。
だって、復代理人が代理人に金銭を引き渡しているんですよね。そうすると、当然ですが復代理人の手元には金銭はないわけです。それなのに、手元にない金銭を本人に引き渡す債務が消滅していないって、
・・・じゃあどーしろっちゅーねん!!
って感じがします。
復代理人としては、代理人に金銭を引き渡しているわけですから、それで役割は終了しているはずです。あとは代理人が本人に引き渡せばいいだけのこと。
というわけで、肢3が謝り。これが正解ということになります。
問2
所有権の移転又は取得に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 Aの所有する甲土地をBが時効取得した場合、 Bが甲土地の所有権を取得するのは、取得時効の完成時である。
2 Aを売主、Bを買主としてCの所有する乙建物の売買契約が締結された場合、BがAの無権利について善意無過失であれば、AB間で売買契約が成立した時点で、Bは乙建物の所有権を取得する。
3 Aを売主、Bを買主として、丙土地の売買契約が締結され、代金の完済までは丙土地の所有権は移転しないとの特約が付された場合であっても、当該売買契約締結の時点で丙土地の所有権はBに移転する。
4 AがBに丁土地を売却したが、AがBの強迫を理由に売買契約を取り消した場合、丁土地の所有権はAに復帰し、初めからBに移転しなかったことになる。
問2。各肢の文章が長ったらしくて嫌になりそうですが、落ち着いて考えれば解ける問題だと思います。正解は4です。
まずは肢1。時効完成するとどうなるかって話ですが、 時効完成の効力はその起算日に遡ります(民法144条)。したがって、取得時効の完成時に所有権を取得するという本肢は間違ってますね。
続いて、肢2。善意無過失の時は所有権取得できる。なんかどこかで似たような制度をみたことがありますね。そう、即時取得(民法192条)です。
ところが、即時取得が成立するためには、目的物が動産である必要がありましたね。
肢2をみると、「乙建物」とありますので、今回は即時取得は適用されません。これも間違ってます。
肢3。所有権移転の時期がいつなのか問われています。
これはどうだったかというと、原則は意思表示のときに所有権が移転するということになっていましたね(民法176条)。ところが、この規定は任意規定でありますから、当事者間で特約を定めた場合にはそれが優先します(判例)。
肢3をみると、「特約が付された場合であっても」とあるので、間違ってることがわかるかと思います。
最後に肢4。ここまで判断できればこれが正解だとわかりますね。
強迫によって契約が取り消された場合は、相手方は善意無過失であったとしても保護されません。したがって、丁土地の所有権はAに復帰し、Bには初めから所有権が移転しなかったことになります。肢4が正解。
問3
次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。
(判決文)
共有者の一部の者から共有者の協議に基づかないで共有物を占有使用することを承認された第三者は、その者の占有使用を承認しなかった共有者に対して共有物を排他的に占有する権原を主張することはできないが、現にする占有がこれを承認した共有者の持分に基づくものと認められる限度で共有物を使用する権原を有するので、第三者の占有使用を承認しなかった共有者は右第三者に対して当然には共有物の明渡しを請求することはできないと解するのが相当である。
1 共有者は、他の共有者との協議に基づかないで当然に共有物を排他的に占有する権原を有するものではない。
2 AとBが共有する建物につき、AB間で協議することなくAがCと使用貸借契約を締結した場合、Bは当然にはCに対して当該建物の明渡しを請求することはできない。
3 DとEが共有する建物につき、DE間で協議することなくDがFと使用貸借契約を締結した場合、Fは、使用貸借契約を承認しなかったEに対して当該建物全体を排他的に占有する権原を主張することができる。
4 GとHが共有する建物につき、Gがその持分を放棄した場合は、その持分はHに帰属する。
判決文を読ませる問題は苦手とする人が多いと思います。
だがしかし、こういう問題は必ず判決文の中に答えが書いてあります!読めば1点取れるわけです。
センター試験の現代文と同じですね。高校時代に現代文が得意だった方なら難なく解けると思います。かくいうぼくは、現代文は死ぬほど苦手でした。偏差値39をとったことがあるくらいですから(笑)
そんなぼくでさえ解けましたから、皆さんも絶対解ける問題です!
落ち着いて、まずは判決文が何をいっているのか理解しましょう。ちなみに正解は肢3。
と、その前に判断がつきやすい肢4を見ておきましょう。
これは、、、持分を放棄した場合は、他の共有者が持分を取得することになっていますよね(民法255条)。よって、肢4は謝りです。
まず、この判決文が何を言ってるのか押さえましょう。
共有者A・B・C、第三者D、勝手にDの占有を承認した共有者をCとします。
そうすると、
“Dは、共有者A・B・C全員の協議に基づいて占有を承認されたわけではないから、建物全部を占有する権原を有しないが、Cが有する持分の範囲内(3分の1)の範囲内では建物を占有する権原を正当に有するから、A・Bは、Dの占有を承認していないからといって、Dに対して当然に明渡請求をすることができるわけではない”
ということになります。これを理解するのがカギになるでしょうか。
これと違うことを言っている選択肢はどれですか、ということですね。
肢1はこの判例と同じことを言っているのがわかると思います。
共有物全体を排他的に占有する権原はない、と言っているのです。判例と同じですよね。
肢2も同じですよね。「Bは当然に明渡しを請求することはできない」と言ってます。
肢3はどうでしょう。「FはEに対して、当該建物全体を排他的に占有する権原を主張することができる」というのは、判例と言ってることが違うのがわかります。
判例は「承認者の持分の範囲内で占有者は権原を正当に有する」と言ってますので。
ということで、肢3が誤りだということがわかります。
ひとつひとつ順を追ってみていくと、決して難しくありません。
あとは、やっぱり慣れだと思います。
とりあえず今日はここまでにしておきますね。
続きは後ほど。卒論の合間になりますので、ちょっと後ろにずれ込むかもしれません・・・。
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それでは、また!!