あおねこ物語

Ich habe keine Zeit.

H30年宅建過去問解説 その1ー民法①

こんばんは。

 

先日お伝えしました通り、早速宅建問題の解説をしていこうと思います!

まずは民法から!!

 

 

【問1】AがBに甲土地を売却した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

 

1 甲土地につき売買代金の支払と登記の移転がなされた後、第三者の詐欺を理由に売買契約が取り消された場合、原状回復のため、BはAに登記を移転する義務を、AはBに代金を返還する義務を負い、各義務は同時履行の関係となる。

 

2 Aが甲土地を売却した意思表示に錯誤があったとしても、Aに重大な過失があって無効を主張することができない場合は、BもAの錯誤を理由として無効を主張することはできない。

 

3 AB間の売買契約が仮装譲渡であり、その後BがCに転売した場合、Cが仮装譲渡の事実を知らなければ、Aは、Cに虚偽表示による無効を対抗することができない。

 

4 Aが第三者の詐欺によって甲土地を売却し、その後BがDに甲土地を転売した場合、Bが第三者の詐欺の事実を知らなかったとしても、Dが第三者の詐欺を知っていれば、Aは詐欺を理由にAB間の売買契約を取り消すことができる。

民法1問目。ここで

 

「うわっ・・・なにこれ全然分からない」

 

ってなると、その後のモチベーションがだいぶ変わってきてしまいますよね。いつも以上に問題文をよく読み、落ち着いていきましょう。

 

とはいえ、この問題はさほど難しくはないのかと思います。ケアレスミスは避けたいところですので、問題文でなにが問われているか(「正しいもの」なのか「誤ったもの」なのか)を確認するクセをつけておくといいと思います。

f:id:bluecat0903:20181219112121j:plain

 

 

この問題、正解は肢4ですね。これだけ内容間違ってます。

 

Aが第三者からの詐欺によって土地を売却したことをBが知らなかった場合は、Bは有効に土地の権利を取得します。そして、有効に土地の権利を取得したBから土地を購入したDは、たとえAが第三者からの詐欺によってBに土地を売却したことを知っていたとしても(=Dが悪意だとしても)、Dもまた有効に権利を取得することになるのです。このような場合を「絶対的構成」と言いましたよね。(知らない人は覚えてね)

 

「DはAが詐欺によって売却したことを知ってるのに、おかしいじゃないか」という意見もあるかもしれませんが、次のような考え方もあります。つまり、

 

詐欺の事実について善意の人(この事例ではB)は完全に有効な形で権利を取得できるのに、たとえ悪意であれ、その人(B)から譲渡を受けた人(D)が権利を取得できないのはおかしい

 

ということですね。

また、土地などの不動産は転売されることがしばしばありますので、転々と売買が繰り返される中のそれぞれの当事者について、主観的な状況(善意か悪意か)によって権利の取得の可否が決まるというのは、・・・メンドクサイじゃないか!ということなのです。今回の事例で、Bは所有権取得できるけど、Dはできません!ってなったら、いろいろ・・・めんどくさそうですよね。。この事例はDまでだからまだいいですけど、実際の売買になるとE、F、G・・・Mぐらいまで登場人物が出てきてしまうかもしれません。

 

そんな場合に備えて、「一旦善意の人が権利取得したら、あとは悪意でもいいよ!!」と決めてしまうことで取引の安定を図ることにしたのです。

 

 

以下、その他の肢について。

 

肢1 → 民法545条・546条・533条

「契約解除に伴う原状回復義務は同時履行の関係にある」のです。基本事項ですね。

 

肢2 → 民法95条

錯誤による意思表示の「無効」は、重大な過失がある場合はすることができません!

(もっとも、錯誤のところで出てくる「無効」ってのは他の「無効」とは少し毛色が違うので注意してくださいね。)

 

肢3 → 民法94条2項

「仮装譲渡の事実を知らない」すなわち「善意」です。善意の第三者には対抗できませんでした。

 

 

こんな感じで問2以降もこの調子でいきたいと思います。

それでは、また!!